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平成30年度冬季学園講話会が開催されました。

平成30年度冬季学園講話会が開催されました。
平成30年12月8日、本学体育館にて、大学・短期大学部在学生および教職員約700名が出席し、学園講話会が開催されました。 本学の学園講話会は毎年、学外から講師を招き、夏季および冬季の2回開催されます。

今年度第2回目は、国立大学法人弘前大学 学長 佐藤 敬先生を講師としてお迎えしました。 佐藤先生は、弘前大学医学部長、弘前大学被ばく医療総合研究所長など多くの役職を歴任され、平成24年2月に弘前大学長に就任しています。今回は公務ご多忙の中、佐藤先生の研究分野である「脳卒中について」という演題で、60分間のご講話を頂戴いたしました。

最初に下田学長より、佐藤先生のご略歴紹介の後に「今日は佐藤先生のご専門の脳卒中について教えていただきます。佐藤先生は、国内にとどまらす、海外においても脳卒中研究の第一人者です。学生諸君は、脳卒中について学んでいる部分もあると思いますが、今日は、日ごろ疑問に思っていることについても、お話しをうかがえると思います。私も本日の佐藤先生のお話は医師として非常に楽しみにしております。皆さんは、医療・福祉の専門家を目指す学生でありますから、脳卒中の症状を理解するということだけにとどまらず、現在の高齢化社会における医学・医療・福祉のあり方を通じ脳卒中にどう向き合えばよいのかというところまでつなげて考えるよい機会にしてください。」との挨拶がありました。

今回の講話は、1.ヒトの脳 2.日本人の死因と脳卒中 3.脳卒中の分類 4.脳卒中の患者数 5.脳の機能局在 6.ビジネスとしての医療・福祉等のテーマについて多くのスライドをご用意いただきました。

まず、佐藤先生が学長である弘前大学が来年70周年を迎えることについてお話された後、ヒトの脳の特徴や他の動物との違いについて説明され、そして、ヒトの脳の血管、脳内のさまざまな動脈についてお話されました。

次に、日本人の死因の中で、脳卒中は、1950年頃からほぼ30年間にわたって、日本人の死因の第1位であったこと、中でも、青森県をはじめとする北東北地方の、特に男性においては、脳卒中が猖獗(しょうけつ)を極めていたと話されました。その課題に取り組むべく、弘前大学では、1965年(昭和40年)に弘前大学医学部に脳卒中研究施設が新設され、1973年には第一回日本脳卒中研究会が青森市で開催されました。そして、1975年には遂に日本脳卒中学会が発足したとお話されました。先人の努力により、現在では、高血圧コントロールの改善や、急性期治療、リハビリテーションなどの進歩によって、死亡原因としては、第4位にまで下がっているとお話されました。

続いて、脳卒中の分類について説明がありました。脳梗塞、脳出血、クモ膜下出血の特徴についてお話されました。特に、脳梗塞における虚血性ペナンブラ領域(病巣の周りの健康な部分)を救うことの重要性については興味深いものがありました。

先人の努力による医療の進歩で脳卒中は死亡原因としては、改善されましたが、様々な後遺症により、入院期間はがんや心疾患よりも4倍以上長いこと、さらに、この傾向は今後も続くと見込まれるというお話がありました。また、寝たきりになる原因疾患の第1位であることにも触れ、介護等の対象疾患としての重要性はむしろ大きな問題となっており、その理由は、脳の機能が場所により異なるため、障害の部位により腕や脚の運動に麻痺が起こることを詳しく教えていただきました。

医療という観点からは、医療費の増大が課題である反面、ビジネスとしてみると医療・福祉の雇用創出効果の点にも注目しなければならないことを指摘されました。他方、医療の平等性の観点からみると、日本の医療保険制度は極めてよく整備されており、しかも、GDP比の医療費は世界の中では決して上位クラスではなく、今後も、このシステムを維持していかなければならないことにも触れていただきました。

最後に、佐藤先生から、医療・介護の未来を担う本学の学生に、16世紀の外科医であるアンブロワーズ・パレの言葉を贈っていただきました。「To cure sometimes, to relieve often, to comfort always.(病を治すことはときどきできる、病む人の苦しみをやわらげることはしばしばできる、病む人の心を慰めることはいつでもできる)」。時代は変わって医療は進歩していますが、今でも、すべての病を治すことはできません。君たちの目指すところはこの言葉に凝縮されていると、講演を終了されました。

地域に貢献できる質の高い専門資格者の育成を建学理念として掲げる本学の学生として、今回の講話をきっかけに、脳の機能と障害についてさらに興味をもち、日ごろ勉強している医療・福祉を通じ、アンブロワーズ・パレの言葉にもあるように人に共感できる豊かな人間性を育んで、地域に貢献できる人材になってほしいと思います。

佐藤学長、まことに貴重なご講話をありがとうございました。