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 2018.06.12

平成30年度夏季学園講話会が開催されました。

平成30年6月9日、本学体育館にて、大学・短期大学部在学生および教職員約700名が出席し、学園講話会が開催されました。 本学の学園講話会は毎年、学外から講師を招き、夏季および冬季の2回開催されます。



 今年度第1回目は独立行政法人国立病院機構弘前病院 特別統括病院長 藤 哲(とう さとし)先生を講師としてお迎えしました。
藤先生は、弘前大学医学部名誉教授、弘前大学医学部附属病院長・学長特別補佐、日本手外科学会学術集会会長や日本マイクロサージャリー学会学術集会会長など多くの役職を歴任され、日本のみならず世界的に「手外科」の研究と発展にご尽力された方です。なお、「手外科」は平成29年度からスタートした新専門医制度の基本領域(19領域)から専門性に特化して細分化したサブスペシャリティー領域(29領域)に認定された領域です。今回、「ヒトの手について考えてみよう」という演題で、70分間のご講話を頂戴いたしました。




 最初に下田学長より、藤先生のご略歴紹介の後に「今日は藤先生のご専門の手外科について教えていただきます。皆さんが何気なく使っている手の機能について初めて耳にすることが多いかもしれません。わたくしも何度か藤先生のお話を聞く機会があり、医師として毎回興味深く拝聴しております。皆さんは、医療福祉の専門家を目指す学生でありますから、手の機能の知識やなぜ指先が「第2の目」といわれているのかを理解するということだけにとどまらず、本日の講話を、これからの人間のあり方や医学・医療・福祉のあり方までにつなげて考えるよい機会にしてください。」との挨拶がありました。







 
 今回の講話は、1.手の機能について、2.ヒトは手をどのようにとらえてきたのか、3.手や指がなくなったらどうするのか、4.音楽家の手の障害、の4つのテーマで多くのスライドをご用意いただきました。

 まず、藤先生が手外科を志したきっかけをお話しくださり、第1のテーマである手の機能の特徴についてのお話へ続きました。生物の手の進化がどのようであったか、母指球筋の発達や母指の対立運動がヒトの特徴であること。そして、ヒトの手の様々な機能(把持機能:つまむ、にぎる、キーグリップ等)、手の皮膚の特徴と異常についてのお話が続きました。手が第2の目と呼ばれる例として、3重苦で知られているヘレン・ケラー女史が初めて水を感じ、「ウォーター」と発音のできた逸話を紹介していただきました。

 次に、古からヒトは手をどのようにとらえてきたのかについては、古代ギリシャの哲学者の言葉を引用し、手の大事さが述べられているとお話しされました。また、漢字も「手へん」が「足へん」よりも圧倒的に多いことや手をモチーフとした有名な絵画も多数描かれている等の紹介がありました。

3番目の手や指がなくなったらどうするのかというテーマからは、指や手を再接着する手術である微小血管外科(マイクロサージャリー)について、様々な手術例をスライドで説明していただきました。特に、足の指を手に移植する手術は興味深いものでした。

最後の、音楽家の手の障害のテーマは、医療というよりも、手指にハンディキャップを持ちながらもそれを受け入れて超一流の音楽活動をすることができた音楽家(ジャンゴ・ラインハルト等)の逸話でした。藤先生は医療人としては、すぐ手術するのではなく、障がいをもった方の意思を尊重することが大切だと話されました。



 講話のあとの学生からは、「将来、感覚を感じることができる義手はできるか」等講話に関連した質問がありましたが、それらにも丁寧にご回答いただきました。

 地域に貢献できる質の高い専門資格者の育成を建学理念として掲げる本学の学生として、今回の講話をきっかけに、第2の目ともいわれているヒトの手の機能のことにさらに興味をもち、日ごろ勉強している医療福祉を通じ、人に共感できる豊かな人間性を育んで、地域に貢献できる人材になってほしいと思います。

藤先生、今回はまことに貴重なご講話をありがとうございました。